会計士ママのもやもやもん

育休中のアラサー会計士がお金のあれこれ、受験のコツ、会計士生活、子育てについて語るブログ

会計士になって監査法人で働いて後悔したこと5つ

公認会計士は社会的地位が高く、高収入のイメージを持たれている方も多いと思います。一方で、資格取得に相当な勉強時間が必要で、多くの人が専門学校へ通うにも関わらず合格の保証がないため、目指すのに値する資格か・・・?と悩まれる方も多いのではないでしょうか。

 

また、監査法人で働く従業員の大半が会計士であるため、周りに会計士がいない人にとっては監査法人がどんなところか想像しづらいのではないでしょうか。

 

そういった方に向けて、前回「会計士になって監査法人で働いてよかったこと」を5つ挙げました。

ただ、物事にはいい面もあれば悪い面もある、監査法人とて例外ではありません。

メリットのみお話しするのは公平ではないと思いますので、この記事では私が「こんなはずではなかった!!!」と思う会計士になって監査法人で働いて後悔したことを5つ挙げたいと思います。

 

①知識のアップデートが必要。ついていくのが大変!

会計士の試験では、会計学、監査論、税法、企業法等たくさんの科目があります。

私は会計士を目指しているとき、「勉強はこれで最後だ。これを乗り切れば終わりだ、頑張ろう!」と思い、自分を励ましながら机に向かっていました。

 

そして会計士になり、監査法人で働き始めてすぐに愕然としました。

気づいたからです。

「会計士の資格を維持するためには一生勉強しなければならない」ということに…。

 

税法は国の政策で毎年変わります。

会計基準も毎年のように変わります。企業環境の変化に伴い、新しい取引形態の発生、株主や債権者のニーズの変化があるからです。

また、国際財務報告基準であるIFRSの動向に合わせ、日本の会計基準も変わることがあります。

 

法律や基準が変わらなくとも、担当する会社が変われば、勉強が必要になります。

会計士はすべての会社で同じ監査手続をしているわけではありません。

その会社が扱う製品、商流、取引先、関連する法律、組織風土、歴史等会社を理解し、リスクがどこにあるのか検討し、リスクに応じた手続きを実施しなければ監査が失敗する可能性が高くなるからです。

 

監査法人で活き活きと働いている人は、会計が好き、知的好奇心が旺盛で色々なことを知るのが楽しいという人ばかりですし、そういう人がどんどん昇進していきます。

 

考えてみれば当たり前のことかもしれませんが、会計士になったら一生勉強が必要であるということは覚えておきましょう!

 

②職場環境の良し悪しは担当する会社、上司に左右される

先ほども述べましたが、担当する会社によりリスクが異なるため、監査業務で実施する手続きも変わります。

 

大きな企業では海外との取引が多く英語の文書を読む機会が多いかもしれません。

同業他社で不正事例が発見されている会社では、十分な対応策が取られているという心証が得られない限りより厳しく監査を実施しなければならない可能性が高いでしょう。

たとえ勤務地が東京でも地方に大きな工場や子会社があれば年に何度も、場合によっては1~2週間単位の長期出張があるかもしれません。

 

また、どこにどれだけのリスクがあるのかは、最終的には監査をする会計士が職業的専門家としての能力を発揮し、判断するしかありません。

さらに、どの業務をどこまで誰がやるのかについても明確な決まりはありません。

 

この結果、リスクが高い会社や丸投げ上司にあたると、途端に自分の業務量が増えます。

人によって業務量が異なるというのはどの会社でも同じであるとは思いますが、同じ資格で同じ業務をしている分、「あの同期はいつも自分より早く帰っている…いいなぁ、自分はついていないなぁ」と感じやすいです。

 

転職もしやすいので、担当する会社が変わったとき、辞めてしまう人も時々いますね…。

職務について希望が通りやすいとはいえ、どこの会社を担当するかはタイミングもあるのでこればかりは自分の運を頼りにするしかありません。

 

③監査って嫌われ仕事・・・?

基本的に監査にいくら対応したところで、クライアントである会社の収益にはつながりません。

クライアントが監査法人に監査を依頼するのは、ある程度規模が大きくなったり、上場すると、監査をすることが法律で定められているからです。

なるべく手間をかけずに「間違いはどこにも見つかりませんでした」というお墨付きを監査法人からもらえたらそれでいいと思っているクライアントも少なくありません。

 

監査業務をするために必要な作業をお願いすると嫌な顔をされたり、「それって本当にしないとだめですか」と聞かれることも多いです。

こちらも人間なので、嫌な顔をされると悲しい気持ちになります。

経験が少ないとクライアントをうまく説得できず、一方で上司からは「絶対に必要な手続きだ」と指示され、板挟みになることも…。

 

もちろん、会計士として指導的機能を発揮し、会計基準の説明や業務の効率化に向けた提案、他社の事例等を紹介すれば感謝されることもあります。

そんなときは人の役に立てた!とやりがいを感じることができます。

 

可処分所得が少ない

監査法人に福利厚生が期待できません。

基本的に家賃補助も寮もありません。自社に食堂もありません。

また、退職金にも期待ができないので、自分で貯蓄や運用をして老後に備える必要があります。

 

監査法人の初任給が高いと先日ご紹介しましたが、実は思ったより可処分所得が少ないかもしれないので注意が必要です。

 

⑤up or out

一般の事業会社では昇進しないという選択をすることもできると思いますし、窓際族として会社に居座り続けることもできるでしょう。

一方、監査法人ではパートナー(=監査法人の最高職位)になる見込みのない人が定年までいるのはかなりレアケースです。

 

海外ほどではないもののup or outの組織風土があるので、入社してもずっと自分のキャリアプランについて考え続ける必要があります。

 

以上、会計士になって監査法人で働き始めて、私がこんなはずではなかった!と思ったこと5つでした。

同じように後悔する人が少しでも減れば幸いです。

実際に挙げてみると、入社する前から予想できただろうと自分でツッコミを入れたくなりますが…